毎年1月にラスベガスで開催されるCESは、世界中から13万5,000人以上のビジネスパーソンが集まる世界最大のテックカンファレンスです。くしゃくしゃになった紙の名刺の山を抱えて帰るか、CRMを有望な見込み客で満たして終えられるかは、事前の準備次第だと私は実感しています。スタートアップの創業者、プロダクトマネージャー、投資家、あるいは初参加の方であっても、デジタル名刺と明確な戦略があれば、CESでの体験は劇的に変わります。
本ガイドでは、熱気に包まれるCESを実りある継続的なビジネス関係へと変える、「事前/会期中/事後」の具体的なフレームワークをわかりやすく解説します。
- CES 2026の開催期間は1月6日〜9日(ラスベガスの12会場・3大キャンパスで開催。プレイベントは1月4日より開始)
- ミーティングは4〜6週間前から事前設定する:CESで生まれる最良の対話は、事前に計画されたものです
- 「事前/会期中/事後」のフレームワークを活用し、13万5,000人の来場者との出会いを忘れ去られる名刺の山ではなく真のつながりに変える
- 48〜72時間以内にフォローアップを行う:関係が冷めないうちに、会話の具体的な内容に触れながら連絡する
CESがビジネスネットワーキングの「スーパーボウル」と呼ばれる理由
CESは単なる新製品の見本市ではありません。テック業界における最大のパートナーシップ、資金調達、大型商談が毎年ここから生まれています。13万5,000人を超える来場者、4,500社以上の出展企業、そしてEureka Parkに集結する1,400社以上のスタートアップ。これほど高密度でビジネスチャンスが凝縮されたイベントは他にありません。
CES 2026は2026年1月6日〜9日にラスベガスで開催され、1月4日からはメディアデーやプレイベントがスタートします。会場は250万平方フィート(約23万平方メートル)を超える展示エリアと12の公式会場に広がり、大きくLVCC、Venetian、C Spaceの3つのメインキャンパスに分かれています。
2026年の主要テーマは、ハードウェアに組み込まれたAI(「Invisible AI」)、デジタルヘルス2.0、モビリティ/EVの革新、サステナビリティ技術などに重点が置かれています。来場前にこれらのテーマを把握しておくことで、訪れるべきホールや会うべき相手を的確に絞り込めます。もしカンファレンスでのネットワーキングが初めての方は、まずは基本を押さえた上で、本ガイドのCES特化型テクニックを実践してください。
CES開幕前:ネットワーキング戦略を立てる
CESで優れた成果を上げる人は、ラスベガスに降り立つ前に仕事の大半を終えています。私の経験上、ネットワーキングを綿密に事前計画している人は、行き当たりばったりで参加する人に比べて3〜4倍も有意義なつながりを獲得しています。
具体的な目標を設定する(単に「人に会う」だけにしない)
目標が曖昧だと、結果も曖昧になります。「CESで人とつながる」ではなく、以下のように設定してみましょう。
- 出発前に、会いたい相手の氏名と企業名を10〜15人リストアップする
- 「AIヘルスケア分野のプロダクト責任者5人とつながる」「シリーズAに向けた潜在投資家3人と面談する」など、測定可能な目標を設定する
- ターゲットがいる可能性の高い会場やホールを特定する(詳細は後述)
- 次回のオンライン面談、デモの実施、関係者の紹介など、各会話で目指すネクストステップを決めておく
ミーティングを事前設定する(4〜6週間前)
CES公式アプリを使えば、出展企業や参加者を事前に確認できます。これを最大限に活用しましょう。ただし、それだけで終わらせてはいけません。
- LinkedInでのアプローチ:「CESに参加予定です。[会場名]で15分ほどお話しできませんか?」といったメッセージは、驚くほど高い返信率を得られます。
- 重要人物には直接メールを送り、具体的な日時と場所を提案する
- ミーティングスペースを早めに確保する:LVCC周辺のホテルのロビーやカフェはすぐに満席になります。LVCC West Hallのレベル2・レベル3にある会議室も早い段階で埋まってしまいます。
- ミーティング場所の提案には、CESのフロアマップを確認して具体的なブース位置を指定する
デジタル名刺を準備する
これこそ、私がCES参加者全員に出発前に必ず行うよう伝えていることです。顔写真、役職、会社名、主要リンクを設定したデジタル名刺を用意しましょう。スマホでQRコードの読み取りやNFCタップを事前にテストしておきます。会話と会話の合間が30秒しかない混雑した展示ホールでは、財布や名刺入れをごそごそ探すよりも、QRコードをパッと提示するほうが圧倒的にスマートです。
チーム全体で導入したい場合は、Wave Connectを使えば、統一されたブランドデザインの名刺をチーム全員に簡単に配布できます。無料で使い始めることが可能です。
主要な出展企業とセッションをリサーチする
- CESアプリをダウンロードし、参加予定のセッションをお気に入りに登録する
- 会場間の移動ルートを把握する:ラスベガスの会場は広範囲に分散しており、LVCCとVenetian Expo間の移動だけでも徒歩で15〜20分かかります
- 目標達成に直結する、参加必須の基調講演や分科会セッションを特定する
- どのブランドがどのホールに出展しているかを確認し、効率的な巡回ルートを組む
CES会期中:日程別ネットワーキング攻略法
CESは短距離走ではなく、マラソンです。セッションの連続、超満員の展示ホール、連夜のイベントが続く4日間は、ペース配分を考えないとすぐに燃え尽きてしまいます。私がお勧めする日程別の過ごし方は以下のとおりです。
1〜2日目:全体像の把握と状況確認
- オープニング基調講演に参加する:例年、最初の2日間はSamsung、LG、Sony、NVIDIAなどが登壇します
- 特定の人と会う前に、メインホールを歩いて会場の感覚をつかむ
- 初日から全員に会おうとしない:まずは観察し、有益なコンタクトを見極め、再訪したいブースをメモしておく
- 現地の実際の状況を踏まえ、最初の2日間でスケジュールを微調整する
3〜4日目:ネットワーキングの最盛期
- 事前設定したミーティングを確実にこなす
- アフターパーティーや夜のイベントに参加する(実際の商談がまとまるのはこうした場です。詳細は後述)
- セッションの合間の立ち話を活用する:列に並んでいる人やコーヒーを買っている人は気軽に会話に応じてくれます
- スタートアップとのコネクションを求めるなら、Venetian ExpoのEureka Parkでまとまった時間を過ごす
会場別ネットワーキングガイド
CESは3つのキャンパスで構成されています。どのホールにどの業界が集まっているかを把握しておけば、無駄な移動時間を何時間も節約できます。
- LVCCキャンパス(Las Vegas Convention Center):メインとなる拠点です。West Hallは自動車・車載技術・モビリティ、Central Hallは主要グローバルブランド・ゲーミング・スマートホーム、North Hallはデジタルヘルスやアクセシビリティを網羅しています。最も人通りが多いエリアです。
- Venetian Expo(Venetianキャンパス):Eureka Park(1,400社以上のスタートアップ)、ヘルステック、フィットネステック、エンタープライズソリューションが集結しています。新興企業やスタートアップの創業者を探しているなら、ここに時間を割くべきです。
- C Spaceキャンパス(ARIA):マーケティング、広告、コンテンツ制作が中心です。比較的落ち着いたセッションが多く、密度の高い質の高い会話に適しています。
- ホテルスイート(Wynn、Mandalay Bay、Encoreなど):プライベートミーティング、完全招待制イベント、エグゼクティブ同士の会談が行われます。経営層(Cクラス)と事前にミーティングを組んでいる場合、指定される場所の多くはここになります。
移動のコツ:LVCCのホール間移動にはLVCC Loop(テスラ専用地下トンネル)を使うとスピーディーです。Venetianエリアへのアクセスにはラスベガス・モノレールが便利です。なお、CES期間中のUber/Lyftのダイナミックプライシング(割増料金)は非常に高騰するため、通常10ドルの距離でも30〜50ドル程度を見込んでおきましょう。
5秒で完了する名刺交換
混雑する展示ホールでは、次の人が話しかけてくるまでのわずか5秒ほどで連絡先を交換しなければなりません。現場で最も効果的だった手順をご紹介します。
- ブースに近づく前や会話を始める前に、スマホにQRコードを表示しておく
- 「名刺をお渡ししますね」と伝え、QRコードをスキャンしてもらう(相手側はアプリ不要で、即座に連絡先が端末に保存されます)
- ブースでのミーティングでは、NFC対応のデジタル名刺があればタッチするだけでさらに素早く交換可能です
- 紙の名刺をごそごそ探すよりはるかにスムーズで、連絡先がくしゃくしゃの紙束の中に埋もれることなく確実にデータとして残ります
参加すべきCESのアフターパーティー&非公式イベント
CESにおける最大の商談は、展示フロアではなく夜のイベントで生まれます。多くのネットワーキングガイドではこの点が見落とされがちですが、基調講演の会場よりも、CESのアフターパーティーでお酒を酌み交わす中でパートナーシップが結ばれる場面を私は数多く目にしてきました。
理由はシンプルです。午後6時を過ぎると誰もが警戒を解き、リラックスした状態になるからです。「ブース対応モード」から解放され、型通りの売り込みではなく本音の対話が生まれます。
チェックしておくべきCESの夜のイベントには、以下のようなものがあります。
- ブランド主催パーティー:Samsung、Google、Amazonなどの大手企業が完全招待制のイベントを開催します。対象企業に知人がいる場合は、ぜひ直接招待をお願いしてみましょう。
- スタートアップ・ミキサー:Eureka Parkの出展者が主催する夜の交流会です。比較的参加しやすく、創業者やシード期の投資家と出会うのに最適です。
- 投資家ディナー:資金調達を目指す創業者のためには、CES Investor Dinner Reception and Startup Pitchesのようなイベントが用意されています。枠がすぐに埋まるため、早めの申し込みが必須です。
- 各国パビリオン・国際レセプション:CESでは海外からの参加者を対象とした公式交流会が開催されます。開催時間はCESアプリで確認してください。
- 業界別ミートアップ:Eventbrite、Luma、Partifulなどのプラットフォームに、数多くのCES非公式イベントが掲載されます。12月に入ったらこれらのサイトで「CES 2026」と検索してみましょう。
参加時のマナー:パーティーの席でいきなりピッチ(売り込み)をしてはいけません。まずは関係構築を最優先しましょう。バーで隣に立った人物がターゲット企業のバイスプレジデント(VP)である可能性もありますが、初手から製品デモを始めると会話は台無しになります。質問を投げかけ、純粋な興味を示し、名刺を交換しましょう。本格的な提案は後日のフォローアップで行うのが鉄則です。
💡 実践からのヒント:私が最も素晴らしいつながりを目にしてきたのは、基調講演が終了した直後の5分間です。会場全体が熱気に満ちてリラックスしており、QRコードを使えばわずか3秒で名刺交換できます。チャンスを逃さないよう、CES参加前にWave Connectのデジタル名刺をセットアップしておきましょう。
CES閉幕後:真に効果のあるフォローアップのフレームワーク
CESで得たつながりの90%は、フォローアップ不足が原因で立ち消えになります。4日間で数百人と出会い、疲れ果てて帰宅し、ようやくメールを送ろうとした頃にはすでに1週間が経過している——そんな事態を防ぐための方法をご紹介します。
48〜72時間のゴールデンタイム
CES終了後、勝負の分かれ目は48〜72時間以内です。イベントの記憶が鮮明に残っており、相手も受信トレイでフォローアップの連絡を積極的にチェックしているタイミングだからです。
- CES終了後 1日目:連絡先を「ホット(即時の商機あり)」「ウォーム(電話・面談の価値あり)」「中長期的な関係構築(定期的に連絡)」の3段階に分類する
- 2〜3日目:「ホット」および「ウォーム」の相手に、個別化したフォローアップメッセージを送信する
具体的な会話内容に触れる
「CESでお会いできて良かったです」といった型通りの挨拶よりも、「VenetianのブースでAIヘルスケアの活用法についてお話しできて大変有意義でした」と伝える方が10倍効果的です。具体的な話題に触れることで会話をしっかり覚えていることが伝わり、相手に届く何百通もの定型メールの中に埋もれずに済みます。
フォローアップのテンプレートやタイミングについては、こちらのイベント後のフォローアップフレームワークで詳しく解説しています。
1通目のメッセージでいきなり売り込まない
初回のフォローアップの目的は、商談を成立させることではなく「会話を継続させること」です。まずは関連する記事を共有したり、知人を紹介したり、会話で話題に上がった資料を送るなど、相手にとっての価値を先に提供しましょう。具体的な提案や依頼は2通目や3通目で行います。
名刺のアナリティクスを活用して優先順位をつける
CESでデジタル名刺を交換した場合は、イベント後にアナリティクス(閲覧分析)を確認してください。名刺を複数回閲覧している相手は高い関心を示しているサインであり、最も確度の高い見込み客(ホットリード)です。まずはそうした相手に集中してフォローアップを行いましょう。
紙の名刺の山を前に手探りで推測するのではなく、「誰が実際に興味を持っているか」をデータで把握できることこそ、カンファレンスでデジタル名刺を活用する最大の強みです。
よくある質問:CES 2026でのネットワーキング
CESには無料で参加できますか?
いいえ、CESへの参加には事前登録(有料)が必要です。基本パスの早期割引料金は約100ドルからですが、開催日が近づくにつれて300ドル以上に値上がりします。メディア、出展者、登壇者のパスは料金や要件が異なります。最もお得な料金で参加するには、お早めにces.techからご登録ください。
CESにはどのような服装で行くべきですか?
スマートカジュアルが基本です。複数の会場を巡るため、1日に1万5,000歩以上歩くことになります。履き慣れた歩きやすい靴は必須です。日中のセッションはジーンズにジャケットを合わせるか、ビジネスカジュアルが無難です。夜のイベントは少しドレスアップしてもよいでしょう。
CESのアフターパーティーに招待されるにはどうすればよいですか?
まずはLinkedInでのつながりやイベント情報プラットフォームを活用しましょう。12月以降、Eventbrite、Luma、Partifulで「CES 2026」と検索してみてください。厳選されたイベント情報をまとめているCES Party Listをフォローするのもおすすめです。完全招待制のイベントについては、主催企業の担当者に直接尋ねてみましょう。
CESの渡航手配はいつ頃行うべきですか?
ホテルは半年前(6か月以上前)に予約してください。LVCC周辺やストリップ沿いのラスベガスのホテルはCES開催週になるとすぐに満室となり、宿泊料金も普段の3倍以上に跳ね上がります。翌年のCES日程が発表されたら、すぐにホテルと航空券を確保しましょう。
CESには何日間参加するのが理想ですか?
最低でも3〜4日間の日程を確保することをお勧めします。1日目は会場把握と基調講演、2〜3日目はネットワーキングの最盛期、4日目はフォローアップ面談やクロージングに充てます。もし2日間しか滞在できない場合は、2日目と3日目に集中して参加しましょう。
スタートアップにとってCESに参加する価値はありますか?
大いにあります。特にEureka Parkは注目です。Venetian ExpoのEureka Parkはスタートアップに特化したエリアで、1,400社以上のシード・アーリーステージ企業が出展しています。投資家、メディア、将来のパートナーが有望な新興企業を発掘するために訪れる場所であり、多くのスタートアップがCESをきっかけに初の大型契約を獲得しています。
CESで連絡先を交換する最も効果的な方法は何ですか?
QRコード付きのデジタル名刺です。混雑した展示ホールでは、一瞬で完了する方法が不可欠です。相手がQRコードをスキャンするだけで、アプリをダウンロードすることなく数秒で連絡先が保存されます。スピーディーで無駄がなく、名刺の紛失も防げます。名刺交換と合わせて使えるネットワーキングの会話のきっかけ集もぜひご覧ください。
CESで知り合った相手にはどのようにフォローアップすべきですか?
48〜72時間以内に、具体的な会話内容を添えて連絡します。立ち寄ったブースや参加したセッション、話したトピックに触れましょう。文章は簡潔にし、まずは価値を提供し、1通目から無理な要求をしないことが大切です。大人数の場が苦手な方は、こちらの内向型のためのネットワーキングガイドもご参照ください。
著者について: George El-Hageは、世界中で15万人以上のビジネスパーソンに利用されているデジタル名刺プラットフォームWave Connectの創業者です。紙からデジタルネットワーキングへの移行支援において6年以上の実績を持ち、カンファレンスでのネットワーキング戦略に精通。CESからWeb Summitに至るまで、数多くのチームのイベント準備を支援してきました。参加すべき他のイベントについては、2026年テックカンファレンス一覧も併せてご確認ください。LinkedInでもつながりをお待ちしています。



